【警棒ネタ】YUIL社 K-1アルミ3段式警棒
さて、製作が追い付かないので当ブログ比でネタ切れ感のある話題(?)
ユミル…ではなく韓国YUIL社の警棒紹介。
(ところで、ユミヒス良いですよねぇ…)
本邦の改正警備業法対応で一気にその活躍の幅を広げた有名な警棒ですし、何せ53型にソックリなんで気になってたんですよね
さて本題。
詳しいスペック等は警備業法を絡めてレビューしていらっしゃる『guardaの雑記帳』様に詳しくあります。
氏は警棒を論ずる上で陥りがちな「警棒は固くて曲がらない(≒剛性感)方が良い」論に一石を投じられ、アルミ合金製警棒の評価について以下のようにされています。
本来のコイツの用途は対物破壊用ではなく、長さを活かして脅威者との間合いを稼ぎつつ、凶器等を打ち払う程度の最低限度の実力行使(正当防衛の範囲内)が機能すれば十分である。
鎮圧用器材ではなく、護身用具だからだ。参照:YUIL K-1 警棒… : guardaの雑記帳「YUIL K-1 警棒…」(『guardaの雑記帳』2017/7/30)
つまるところ、日本の公安・警備業のフィールドで流通する警棒に対して、正当防衛以上の威力を出し得る剛性を前提とした評価は改めるべきである、と言う事でしょう。(2022.4.8編集)
海外製ともなればコンクリートブロックを平気で粉砕出来る様な代物が数多く有りますが、日本ではオーバースペックでしょうね。そりゃ、間違ってもコンクリブロックの如く骨まで粉砕とか困りますし…
全長は展張時約530mm、収縮時は240mm。平成6年制で制服用に配備された53型警棒とほぼ同スペック。(実際には53型の方が縮長が数mm短いらしいのですが、誤差の範囲でしょう)
メカニカルロックと言うやつです。
バネ式ロックピンで不意の収縮を防ぎます。
最大でこれくらい(2mm程度)の隙間が出来る為、ガタツキはあります。
まぁ、使用上なんの問題もありませんが、どうしても気になるなら摩擦ロックをオススメします
ただ、ここのピンロック、特にバネ部分が壊れると完全に使い物にならないので怖いですね。
このK-1警棒、何が凄いって振り出しが出来るのと、3段目と2段目のロックが連動しているためシャフト3段目(1番先端)を縮めると後はその勢いで2段目のロックが解除され、2段目は直接ピンを押し込まずとも収納出来るんですよ。ワンタッチ収納(?)とでもしておきましょうか
ただ、上記の動作(振り出し、ワンタッチ収納)を繰り返すとバネに大きく負担掛けそうなんですよねぇ…
陸自警務隊の紹介動画でノーベル53型を展張した際、2段目と3段目をわざわざ別に押し戻してたのはそう言う理由があるのでは?と勘繰ってみたり。
(でも展張時は振り出してたんですよね)
警棒のスペックとか使い方に詳しい諸氏の御意見を是非。
続きまして。
把手はゴム巻きです。
個体差なんでしょうが、とにかくゴム臭い。滑り止めの効果としては完璧なんですが。
独特な模様の中に誇らしげな「YUIL」ロゴ。
把手の滑り止めゴムと言う肝心要の部分に自社ロゴを付ける主張の強さ、良いですよねぇ。
でもゴム臭さはなんとかした方が(
日警の53型についてですが、警察庁型はローレット加工(金属のボツボツ)なのに対し、警視庁仕様のは茶色の革が巻いてあります。
以下余談です
警視庁の交番相談員が茶革巻きの旧53型を使ってたのは周知の事実だと思うんですが、最近ジストスに茶革を巻いたと思しき物を装備してる方がいらしたんですよ。
まぁ、旧53型はあくまでお下がりな訳でそう長くはもたないから、そろそろ変わってもおかしくはないんですが。
ジストスと判断した理由としましては、
①各段テーパー(筒の先端)がすぼまっていてジストスと全く同じ処理である
②縮長が海保や海自のジストス53型と同じに見えた。(ジストス53型自体は既に各官公庁への納入実績がある)
の2点でしょうか。まぁ、テーパー処理方法から言って9割方ジストスで正解だとは思うんですけど
ただ、鍔の先端はノーベル工業Ⅲ-R型の様な処理(個人的に袖ビームに似ていると思うんですが如何でしょう)なんですよね。警視庁がよくやる特注と言えば納得いきますが、ジストス53型ではない全く別な製品だったりするんでしょうか。
仮にそうだとして、何故わざわざ茶革巻きを踏襲したのかは気になりますねぇ…
※ここまで言っておいて何ですが、2,3度チラッと見ただけなので記憶が曖昧かつ見間違いの可能性も十分有り得ます。その場合はどうかご容赦を。
交通課仕様のジストス41型とかそうですけど、既製品のジストス41型に回転十字鍔とポリエステル製グリップ、グラスパンチャ後付けって入札する商社も毎度毎度大変そうですよね。営業さんもタダでさえデリバリーが多いのに、競争入札で単価安いってたまったもんじゃない様な…まぁ、商社が有るからこそ為せる技とも言えますが
さて戻りましょう。
一文字に鍔をしまうとこんな感じ。
鍔はネジがきってあるので取り外して鍔無しにも出来ます。
こう言う2wayの使い方が出来るの凄く考えられてるなぁ、と思いますね。これは他の警棒も見習って良いんじゃないかなと。
ただ、ストラップホールの台座が鍔と一体なので、鍔を外すとストラップは無くなります(おいおい…)
で、鍔は回転して十字に開けます。
旧53型の警視庁仕様もこれ(回転十字鍔)です。
ただ、K-1の方は基本的にポリカーボネート製らしく、処理が甘いのかちょっとボコボコしてるので開閉させづらいですね。(業法非対応?で回転金属鍔のK-1なんてのも有るみたいですが。)
片手で完結させようとするとボールベアリングがスムーズに動かない。
そして最大の残念ポイント。
ストラップ台座が一体型なんですよ!!!
ノーベル工業Ⅲ-R、ジストスや制服用65型は回転鍔とストラップが干渉しない様にストラップ部分を金属バーにしてるんですよ
こんな感じに↓
金属バーにした分、台座の両端に隙間が出来て、そこにストラップが嵌るので鍔展開の邪魔にならない訳です。
しかしこれ(K-1)は!!!
うーん。
まぁ、ストラップはそこまで分厚くないのでそんなに邪魔か?と言われればそんな事はないですが。
省力化の極み…ですかねぇ。
まぁ、でもコスパを考えれば超優良な商品だと思います。
ゴム臭い把手とか、ストラップ台座とか、そこら辺はコストダウンの努力だと思うんですよ。(携行ケースの方がだいぶ酷いらしいんですけど持ってないので割愛)
寧ろ小売価格6~7千円でこの実用度って凄いと思いますね。消耗品として割り切って使えますし。まぁ、耐久性とかの兼ね合いで言うとまた違って来るのかも知れないですが
コレクターズアイテムの内改造の種にするのも憚られない値段ですので、現行初期装備研究を志す方は是非()
とは言っても私は警備業者じゃないので1万円出して買ってしまいましたが(笑)
本稿の執筆にあたりguarda氏、野方氏のブログ記事を参考にさせて頂きました。引用箇所は別注に付した通りです。同じ製品を扱う関係上、構成・内容が似通ってしまった点は御容赦頂ければ幸いです。
【参考】
野方工作所 ユイル製・K-1特殊警棒「ユイル製・K-1特殊警棒」(『野方工作所』2013/2/26)
YUIL K-1 警棒… : guardaの雑記帳「YUIL K-1 警棒…」(『guardaの雑記帳』2017/7/30)