白目研究室

日警マニアを自称するニワカな何かが色々と書き連ねて行きます。マル機と現行日警装備中心に語りますが知識は中途半端で偏り有り。

【現行マル機】特殊警備用防護ヘルメットその1

現行マル機装備なんて夢のまた夢だなぁ、なんて考えてまして、これに関してはもう少し温めておく予定でした。

 

その予定だったんです。

 

その予定だったんですが、ちょっとした一件があったのと現行マル機ヘルメットらしき物が次々と出品されてるのを見かけまして、レプリカ品の実態や各写真によって実物の調査もある程度進んだので中間報告的な物を行おうかな、と思った次第です。

 

言わずもがなですが現行防護ヘルメットは旧式のSB-8型の後釜で、マル機以外にも法務省刑務官や特別機動警備隊・海保の各部隊・東京入国管理局・確か水産庁の取締船でも使ってた気がします。SB-8型同様使う幅のある装備です。各機関で若干形状が異なりますが、製造元は同じなんでしょうか

 

さて、この現行防護ヘルメット、CROMWELL社の「F900ヘルメット」にそっくりなんですね。細かな違いは有るものの「帽体に防護面を取付け更にそれを覆う"フェイスシールドカバー"が取付けられている。」と言う機構自体は全く同じ。

 

F600の後継機種としてCROMWELL社が開発したF900。フェイスシールドカバーを取り外して防護面を露出させて使えたり、階級表示テープの貼り付け、そしてネックカーテン(シコロの様なもの?)や懐中電灯が取付け可能と中々の拡張性。火炎や飛散物が直接向かってくる防護面とフェイスシールドカバーは着脱が容易で、損傷を受けても直ぐに交換出来ると言う保守性に優れた代物。

 

消防ヘルメットを専門に扱っているマニアのサイトによれば、どうやらイギリス・西ヨークシャーの消防で2008~2012年の4年間のみ使われていたらしい。「West Yorkshire Fire and Rescue Service」の公式Twitterがあったので見てみると、確かに現在は違うヘルメットを使用している。

※消防ヘルメットマニアのサイト↓

http://www.spanglefish.com/hot-lids/index.asp?pageid=475486

※West Yorkshire Fire and Rescue Service↓

https://twitter.com/wyfrs/status/1255831524353675264?s=21

 

どの世界にもその手の人はいらっしゃるんだなぁと実感。

 

話が逸れましたが、まぁ早い話どちらかが技術を取り入れたんでしょう。

 

で、ソースは一切分からずじまいなのですがコレが恐らく最初に出品された現行マル機ヘルメットのレプリカ。

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フェイスシールドカバーの留め具(赤丸部分)にロゴがうっすら見えるのと、ネジが1つ(日警は2つ)という点から元はF900だったモノでしょう

 

〇カタログによれば、F900のフェイスシールドカバーと防護面は容易に付け替えが出来るはず…なんですが、どうもそう簡単には行かなそう。ネジ山みたいのは有るのにネジ穴が無いので普通のドライバーで回せない。加えて材質がプラスチックっぽいのでペンチとかで抑えて無理やり回したら割れる懸念が。日警のはちゃんとネジ穴が見えますので、恐らくドライバーか何かが有れば取り外しは出来そう。

 

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元はF900だと思われますが、帽章部分に若干の差異が有ります。F900のフェイスシールドカバーは海外式の直径5cm程度の円形帽章が貼れる様な寸法で作られているのですが、コチラのレプリカは日警に寄せてキチンとワイドになってます。

・フェイスシールドカバーになんらかの改造を施したのだと思われますが詳細は分からず。

 

防護面右端にはCEマーク(EU加盟国にその製品が輸出される際に安全基準を満たしていることを証明するもの)が付いている事からも元のヘルメットが日本の物ではないと証明してくれます。

 

F900の防護面そのものにはもちろん通気口は有りません。しかしこちらのレプリカ、日警に寄せて防護面はキチンと通気口が設けられています。(SB-8もそうですが、通気口にはそれなりのリスクは有れど、遊撃の際にこれが無いと吐息で曇ったり、特に新型ヘルメットは防護面と帽体の隙間が無いので呼吸困難に陥る可能性もあるそう)

 

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帽体上面から後頭部、そして内装。どれも日警モノとは異なります。ダイヤル式?のヘッドバンドはF900の特徴ですかね。

 

まぁ似てると言われれば似ているF900ヘルメットなんですが、細かく見ると諸々違いがある訳です

 

特に防護面の開閉機構に関して、日警のモノは上下させる時の音がカシャって感じで、一方のF900は鈍い音がします。

 

・日警の物はラチェット機構(歯車様の保持装置)で、F900はL字型の金具が組み合わさる保持機構なんだろうな、とか思ったり

 

・単純に引き出したり閉まったりする動作のしやすさで言えば日警の方が勝るのかなと思います。F900は面の上下で帽体がズレる(略帽被っててもそうなる)ので押さえてないといけません

 

ひとまず以上で。

「その1」と銘打ってはいますが今回分だけで十分語り尽くした感が。気付いた事が有ればその都度新しく記事にしていく感じで行きますかね

警視庁型耐刃防護衣を自作する話 その2

前回記事https://shiromedivision.hatenablog.com/entry/2020/03/26/022130の続きです。

 

今回は前身頃だけ。後身頃も作り直すので続編で紹介します。

 

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右部分のみ

 

主な改善点ですが

・ポケット及びポケットフタの寸法を実物に準拠(実物の寸法は分からないので写真からの推測になりますが)

・面ファスナーの拡張(これも凡そ実物通り)

・右胸ポケット大の構造

の3点です。

 

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「胸ポケット小」

コチラは面ファスナーを大きく切り過ぎましたかね…?笑。内装は特に何も無く、タダのポケットです

 

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「右胸ポケット大」

防護衣本体に平面状のポケットを取付け、その上にさらに立体のペン入れ付きポケットを追加する事で完全二層化に一応は成功

 

とは言え、実物とは全く異なる仕様です。技術面の問題といいますか、材料費の問題といいますか。右前身頃(左も?)は生地が3層になってるっぽいですね、で真ん中に奥深の平面ポケットなんでしょう。

 

実物だとB6判の小さいノートが入るんですが、まぁそんなものは入れられず。

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これが限界ですかね。あまり需要無さそう…

iPhone8はケース無しでようやく入る感じ。左胸ポケットに入れるしか無さそうですね

 

以上です。

オカダヤが閉まってるのでバイアステープも面ファスナーも買えず、作業は中断せざるを得ないです

 

不要不急の外出はそもそも自粛ですもんね。当然か

なんちゃってSB-8型を作る その2

大変な情勢でありますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

外出自粛のお陰…と言っては不謹慎なのでしょうが警視庁型耐刃防護衣・SB-8ヘル共に作業が進みまして。

 

とは言え材料の買い出しに行けないので中途半端な所で打ち止め状態です

 

2、3ヶ月くらい前に出したヘルメットhttps://shiromedivision.hatenablog.com/entry/2020/01/11/013615の改造編でございます。

 

前回の紹介記事からだいぶ時間が経ってるのは面倒くさくて作業サボってたからだったり

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鉄板をコッピングソーで何とか切り出しまして…(ボール盤欲しい、けど多分用途はコレしか無い)

削り出してそのままなのでバリが酷いです、金工やすりで何とかします(脳筋並感)

 

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防護面台座を仮止め。仮のアルミ製ヒンジ

ひとまず図面通りキチンと動いてくれそう。

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防護面を置いた感じ悪くないですね

 

さて、当面の課題ですが

○金属及び帽体への穴あけ作業(工具調達も含め)

○PC板の曲げ加工

○台座、ヒンジ部品の処遇(既製品か自作か)

こんな感じですかね。まぁ工具はこの際購入しても良いかなって考えてます。

 

ところで、、、

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ちょっとしたお遊びを笑。

ヘルに塗色が無いのでヘル色と階級表示の色が完全に逆ってのは置いといて、あさま山荘事件以降の階級表示、10mmと5mmですから警部補でしょうか

そして謎の三角おにぎりマーク。コレなんでしょう?巡査が付く階級の識別でしょうか(5mm線1本は共通、巡査長→三角2個、巡査部長→三角3個)

 

こんな感じでやってます。

 

 

警視庁型耐刃防護衣を自作する話 その1

どうも酒カスです。久々の投稿です

 

アクセス解析を見てみると結構定期的に?ご覧頂けているのか、1日のPV数が2桁を越す事が多くなりました。嬉しい限りです。

 

余談ですがアメブロやヤフブロ(ついこの間サービス終了しましたね)と違ってここは数字しか出ないので一体どんな方がどう言った趣向で来て下さったのか分からないんですね。まぁ深入りし過ぎも良くないですが

 

本題に入りましょう。

 

耐刃防護衣の自作計画その1

 

今回は1番オーソドックスな警視庁型で挑戦。

と言うか県警型(警察庁制定型?)は市販されてますし、わざわざ自作する必要ないですよね

 

色々書こうと思ってたんですが、気付いたらここまで進んでしまっていました

 

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一応設計上チャコ入れはしてますが、要らぬ誤解を防ぐ為所属名パッチやソレが取り付けられる面ファスナーの類はつけない事にしました

 

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もう少し縁縫いが綺麗な曲線を描けると良いんですけどねぇ…。まぁ、ミシンは中学校?ヘタすると小学校以来なのでご愛嬌って事で

 

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頑張ったと言えばペン入れの仕切りですかね

技術が無いのでコレで限界ですが。

 

レプリカ品はココのとこちゃんとしてましたね。1つの大きいポケットの真ん中に仕切りを付けて完全2層に、さらに片方へ3つ仕切りを設けるのですが、ヘタすると折角作ったポケット全体を縦に縫い閉じてしまうので難しい

 

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全体図

警笛入れ(胸ポケット小)がちょっとデカい。

 

こんなトコですかね。

流石に耐刃パネルは外注します。(とは言え皆さんご存知県警型防護衣市販してるアソコのは横幅が足りないんですよねぇ)

 

足りない部分だけDIY…?取り敢えず様子見で

 

後身頃は続編にて。

 

 

 

 

耐刃防護衣のディティールに関する疑問

前回記事https://shiromedivision.hatenablog.com/entry/2020/03/01/032247では大分長々と書き散らしてしまいましたな

 

後で見ると自分でも眠たくなるような記事で←

 

それはさておき。

警視庁型耐刃防護衣の小物入れについて気になった事が有りまして。

 

現行の外着型耐刃防護衣ってメッシュチョッキの周囲にぐるっとバイアステープが縫い付けられてるんですよね

 

理由は恐らく生地末端の保護。あと素肌に当たった時にチクチクしない様にかな

 

警視庁は肌触りの良いフェルト地のバイアステープで、他の県警は恐らくナイロンテープ。(ここら辺は良く知らないけど同型の民生品を見る限りはそんな感じ)

 

そう、警視庁型は防護衣本体の周線はフェルト地なんです。

周線は!!!!!!!!!!!

 

何が言いたいかと言いますと

一方で、小物入れ蓋のバイアステープはフェルト生地じゃなくてナイロン系生地なんですね。

 

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↑こんな感じの柔らかめなバイアステープが周りに巻いてありまして

 

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小物入れには別な素材が使われてる

 

どうでも良いですがペラペラのレプリカ耐刃防護衣くん、このバイアステープの違いはしっかりと再現されてて侮れない物です笑

 

小物入れだけわざわざ素材を変えたのはコストダウンでしょうか?それとも加工上の都合?

 

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結構違いがハッキリしてるな

同じ素材使い回したらすぐバレそう…

警視庁における耐刃防護衣形態の変遷

書きたいネタは山ほどあるけど資料探しと裏取りが追い付かないモンですね、酒カスです。

 

前回記事警視庁型耐刃防護衣について - 白目研究室にて、脇腹防護板除く現行の警視庁型耐刃防護衣の構造についてあらかた整理出来たと言う事で今回はその続編1をば

ただ、警察の装備に関しては導入(更新)から浸透までの時間が長く、短命な装備や仕様と言うのも少なくないのであくまで一例として見て頂ければと。

 

※記事タイトル及び一部装備の名称変更(防刃衣→耐刃衣)、考察点を新たに挟みました。(2020.4.5変更)

※考察の整理を挿入及び一部画像を加工し文意に沿うように配置しました。(2020.6.9変更)

 

一般的に現在警察官が着用している耐刃防護衣(現行型)はどうやら納入時の品名として"内外着兼用型"とされているらしく、これは活動服や夏冬制服(=上衣)の中に着込んでも外に羽織っても良いよという意味だと思われます。本稿では一部箇所で注記の無い限り現行のメッシュ素材を用いた着脱容易なモノを外着型、それが出来る以前の主流だった白色のモノを(制服の上から羽織る事はしないだろうとの勝手な認識の下で)内着型と定義した上で論を展開します。(2020.8.10変更)

 

まず平成6年(1994)の服制改正で下は濃紺スラックス、上は水色ワイシャツに加えて白の合服が制服として導入。

 

直前に拳銃奪取を目的に警察官が襲撃、刺殺される事件が相次いで発生。

〇平成元年(1989)中村橋派出所警官殺人事件

〇平成4年(1992)旭が丘派出所警官殺人事件

 

これらの事件を鑑みて着心地と機動性を著しく欠き現場で敬遠されていた従来型の防刃装備から、常時着用の可能な耐刃防護衣への転換を警視庁が本格的に検討し始めたと考えてまず良いでしょう

 

<参考>以前の耐刃装備

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[出典:ナンブ @st2658617 11:58.2017/07/08https://twitter.com/st2658617/status/883520659833233410?s=21]

↑どうやらガチガチのプレートでは無く折り曲げ自由な厚手のフィルム?になんらかの耐刃物鋼を取り付けている様だが詳細は不明(2020.8.10訂正)

 

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[出典:2018/02/14『警察官が耐刃防護衣を着装しても致命傷を防げない理由とは?』policemaniacs.com]

↑上衣やジャンパーの下に着るタイプで、前身頃一帯に付けられたベルクロで固定する。以前警察密着系の番組で機捜隊員が着装して事案対応に向かっているのを確認した為、現行のメッシュ防護衣導入に伴って全廃されたという訳ではなく必要に応じて部署を変えて使われ続けている感じ

 

さて本題。

恐らくコレが警視庁が一番最初に導入した外着型耐刃防護衣だと思われるモノ。f:id:Sakekasu7273:20200301003150j:image

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[出典:みにみん⚓@miniminM249 22:31.2017/07/18https://twitter.com/miniminm249/status/887303739790434304?s=21]

・写真中の日付より、少なくとも2001年11月時点で機動隊員には外着型の耐刃防護衣が配備されている事、そして詳細は不明なものの、2種類の全く異なる耐刃防護衣が併存した時期が有るらしい事が分かる。

 

○まず手前のPMが着用する旧型防弾衣の様な形状の防護衣。腹部周りの色が若干褪せて居るのはベルクロが有り、前後身頃を固定するテープは外に露出する形で巻き付けられて丁度へその周辺で貼り着く様になっているからだと推測する。便宜上「初期型耐刃衣A」と名付けておく。(正式名称不明の為)

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防護面積も現行の物とさほど変わらなそうに見える。

 

○次に前面をはじめ反射材が多用されているコチラのタイプ、便宜上「初期型耐刃衣B」としておきましょう。

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画像a

[出典:Pinterest https://pin.it/3U8VMQT]

※因みにコチラの画像、2009年4月4日撮影と言う事で初期型耐刃衣Bは現行型が導入されても一部で使われ続けた様である。

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恐らく初めて前面にファスナーが使われる。そして腰テープが2本(現行埼玉県警型の防護衣と同じ)

 

・現行のいわゆる県警型にも肩ベルトや下腹部など一部に反射材を用いたものは存在しますが、こちらに至っては耐刃防護衣ではなくそもそも反射ベストなのでは無いかと疑いたくなる程に反射による視認性能に重きを置いた仕様。夜間眩しくならないのかな、とか思ったり

 

・コチラの初期型耐刃衣Bの着用方法だが、現行の警視庁ではまず見られない活動服の上から羽織る方式。現行型は対刃物用ベストがVネック気味※1に作ってあり活動服を着ればちょうど綺麗に防護衣が隠れる様になっている。

この後、統一規格の現行型防護衣を導入するにあたってこれを上衣の中に着込むか外に羽織るかの着装方針に何らかの変更が加えられたと推察する。

 

※1.筆者は耐刃衣の形状的差異を述べる際この警視庁型のVネック、対して標準的な県警型をU首とする例えが非常に的を射ていると考えている。最初に考えて下さった方に賞賛の言葉を送りたいと思う。

 

脱線してしまったが以上の画像より考察点を整理しようと思う

(ア)初期型耐刃衣A,Bはそれぞれ併用された時期が有るらしいこと。そしてBにあっては現行型登場後も一部で併用された。まぁ、移行期間的な奴ですかね

(イ)初期型耐刃衣A,Bの仕様、寸法は共通せず、防護面積も異なる様に見える(初期型耐刃衣Aの方が優る?)事、またそれによって対刃物用パネルもそれぞれ異なる物が使われていた可能性があること。

(ウ)初期型A,Bいずれにしても脇腹に耐刃物用パネルやそれが取り付けられそうな構造が見当たらず、脇腹防護という概念は当時まだ無かったであろうこと。

 

〇ただ、上記の写真は初期型A,Bどちらも機動隊のものでありまして、一様にこの通りだったかと言うとそれは苦しいかなと。

実際、地域課の方々に関する画像資料を見つけられてないんですよね。もしかしたらそもそも着用してなかったのかも知れないですが

 

・現行の小物入れ付き耐刃防護衣が導入される契機となったのが2005年2月19日に起こった、いわゆる「逃げる警察官事件」らしく…

警察庁長官が首相の苦言に謝罪…パトカー強奪未遂事件 2005.2.28 Mon 21:25』

https://s.response.jp/article/2005/02/28/68469.amp.html

事故の通報を受けて臨場した東京水上署員に対し薬物を乱用した被疑者(事故を起こした張本人)が武器を振り回して追い回して来た為たまらずPMが退避した所を運悪く同事案について近くを取材中だったテレビ局クルーに撮影されてしまったと言う事件。

引用した記事中には「薬物中毒者という情報があれば、当初から実務経験の豊富な警察官に防靭(原文ママ)・防弾服を着用の上で、もっと多人数で対応にあたっていた」と、現場の意見を取り上げている。映像を見る限り防護衣の有無は確認出来ないが、事故処理を念頭に臨場したのならばいずれの防護装備を着けていなかったのも頷ける。

 

・この件だけに関して言うのならば被疑者がPMに対してバットの様な物で抵抗していた為、耐刃防護衣があった所で…感は否めない(それに対応しろと言うなら大盾や機動隊用の防護装備の方が役立ちそうなもので)。

まぁ本件はイレギュラーな事案だったにしても、警察官の受傷防止策として導入が急がれたのは当然の結果でしょう

 

これによって警視庁が改めて常時着用出来る耐刃防護衣の導入を、それと同時に服制として統一規格の物を用意する事を決めたようである。

 

〇そして平成17年(2005)7月現行の小物入れ付き外着型耐刃防護衣が導入。

ポリスマガジン 8月号にて改良された現行耐刃防護衣の詳細が書かれている。(『ポリスマガジン8月号 警視庁/制服の上から着用でき、動きやすく軽快で 警察官も改良耐刃防護衣で “クールビズ”』2005年7月20日富士山マガジンサービス)

 

この耐刃防護衣、全面メッシュという素材の特性上現場の警察官からはかなり好評だった様で。

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[出典:四国新聞、2005年6月27日記事]

コチラにはまだ脇腹防護板が着いていないので便宜上「現行型初期耐刃衣」としておきましょう。

 

そして導入直後、警察官が耐刃防護衣で防護されていない脇腹部分(?)を刺され殉職する事件が千葉県警管内で発生。

〇千葉県佐倉市警察官襲撃事件(2005年11月8日)

職務質問の警察官、ナイフで刺されて死亡』(s.Response.jp 2005年11月10日 22:27)https://s.response.jp/article/2005/11/10/76364.amp.html

成田空港の検問所を突破、逃走した男を確保し護送しようとした所、警部補が被疑者の男に脇腹を刺された事で殉職。

 

恐らくこれを機に警視庁は脇腹部分の脆弱性を懸念し、対策に乗り出す。

→結論から言ってしまえば着脱可能でオプション装備的な性質を持つ脇腹防護板である。

しかしこの脇腹防護板、着用には対刃物用パネルを保持する為のベルクロを耐刃物用ベストの後身頃に取付けるなど、小加工が必要でして。なので「何の加工もない現行型初期耐刃衣に急造した脇腹防護板を追加」する事は不可能で、交換という形で脇腹防護板付きの現行型耐刃防護衣が改めて配布し直されたのではないかな、と。

 

そしてどうも現行型と一口に言っても何度かマイナーチェンジがあったらしく、最初期(外勤員に53型警棒を持たせてた時代)から今に至るまで全く同じ意匠を貫いた訳では無さそう。

・具体的には最初期の後身頃は緩い台形なのに対して現行型は脇腹防護板保持ベルクロを付けた分、腰の部分がほんの少し出っ張っている点。(ホントに若干ですが)

・右胸ポケット(小)の横幅も時期によって微妙に違ったり、初期型には左胸ポケットの無いものが合ったり

 

あとコレは予測の域を出ませんが、対刃物用パネルの構造?と言うか仕様と言いますか、コレも初期型と現行型で違う気がするんですね。初期型はパネル同士を繋ぎ合わせるリベットの形が防護衣外衣に浮いて出てる物がチラホラ。

現行型でそうなってる防護衣はまず見た事が無いので、パネルの連結方法を変えたかリベットの形が出ないよう別にシート被せたりしてるんでしょう

(2020.8.10追記)

 

この後2012年頃、増加する外国人にも警察官の存在を分かりやすくする為左胸と背面の所属名パッチが更新され従来の「警視庁」単体から「警視庁 POLICE」の英語併記となったのは有名な話。※但し2019年現在でも完全に更新されるには至っていない。

 

〇以上警視庁型耐刃防護衣に関する所見です

 

追記

今回より画像史料を使うにあたり引用元明記及び断り書きなど最大限著作権に配慮した上で転載をさせて頂こうと思います。

もし何か不都合が有ればこちらから事実関係を説明した上で、先方の意向に沿った対応を取ると共に関係箇所或いは記事全体の削除など行う場合があります。

警視庁型耐刃防護衣について

はてさて前回の投稿から大分期間を空けてしまいました。まあ良い感じに議題も温まりましたな(大嘘)

 

※内容的に別記事で紹介した方が良いと思われる耐刃防護衣の略歴については削除させて頂きました。(2020.2.25変更)

 

今回は手持ちの日警装備の1つである警視庁型耐刃防護衣のレプリカについて語ります。

 

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撮影用の耐刃防護衣です。

正確に言えば防刃パネルカバー

 

型崩れ防止で硬めのフェルト布が付いてきますがそれ以外は何も無い本当にただのメッシュチョッキ

 

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脇腹の防護板が無い現行初期タイプ

カバーはともかく防護板だけでもその内自作しようかな。

 

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前面と背面にそれぞれ所属名パッチを着ける為の面ファスナーが。実際は縫い付けですが、そもそもが撮影用と言いますか、お遊びに使う物ですし色々なパッチの互換性を考えるとこの仕様は寧ろ有難いのではないかと

 

あと、ちゃんと階級章穴も付いてます。

 

で、まぁ文句と言う程の物でも無いのですが少々気になる点が。

 

全体的に素材がチャチくてペラペラしてる。

撮影用なので当たり前ではあるんですが、ホントに頼りない。

 

細かく見ていきましょう

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○警笛入れ

ペラペラでどうしようもないので前面と側面をバイアステープで補強。こうする事で警笛吊りの鎖が自重で側面から伸びて来るのをある程度防げます(屈んだりしたら無理だけど)

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補強跡もそんなに目立たないので成功かな。

 

あと肩部の物吊り(仮称)も柔い。(2020.8.29追記)

質感や模様の入り方から見て恐らく防護衣本体に巻いてるバイアステープを流用してる感じ。f:id:Sakekasu7273:20200829195932j:image

ふにゃふにゃ過ぎるのでコチラもバイアスで補強。あくまで応急処置ですね、懐中電灯とかの重量物は確実にアウトです

 

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○右胸ポケット

ペン入れ3つと奥のポケットがちゃんと仕切られてて感動。

 

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○左胸ポケット

なんとペン入れのみ。地域課員はココにPフォンやら印鑑ケースを、マル機は無線機(UWかな?)とか入れてますよね、残念。

 

あと形状、最大の問題点かも。

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ハンガーには2着防護衣が掛けてあって、手前が本物の警視庁型耐刃防護衣に近い民生品の耐刃防護衣※1で奥が今回の防護衣。

○まずレプリカ品は肩ベルト部が幅広。まるで県警型のよう

 

※1:コレも後ほど記事にしようかなと考えてます。

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今度は奥が警視庁型に近い民生品の防護衣。

胸元がどうも開きすぎてるんですよね。こう、流線型気味になってしまっていて、本物っぽくないのが惜しい所。

どこまで言っても結局は低コストを志向したレプリカなのでしょうがないんですが。

 

撮影用と言えば実際にテレビに使われてるのってコレなんですかね?

 

警視庁とその他警察本部の使い分けとか面倒くさそうですし、演者さんが脱ぎ着しやすい前ファスナー式で統一されてる感は有りますよね。

 

自作も視野に入れて動いてはいますが、実際に耐刃防護衣に使われてるメッシュ生地ってどれなんでしょうね?

 

今日はこの辺で。